
2025年7月16日 治験・DCT
【私の学び場ブログ】治験の未来「DCT(分散型治験)」って何?
治験の未来「DCT(分散型治験)」って何?
こんにちは。私は治験業界に20年以上携わってきました。このブログでは、治験をまったく知らない方にも「DCT(分散型臨床試験)」という新しい治験のかたちを知っていただきたくて、書いています。
最近よく耳にする「DCT」。でも、「それって何?」「なんで今注目されてるの?」という方がほとんどかもしれません。
実は、この動きは、これからの医療や薬剤開発に直結する大きな変化の一つなんです。そして私自身、現場でその流れを肌で感じながら、今改めて「DCTとは何か?」を見つめ直しています。
DCTってなに?まずは“治験”の話から
「治験」とは、簡単に言えば、新しい薬や治療法を世に送り出すために行う“ヒトでの確認試験”です。臨床試験とも呼ばれ、私たちが普段病院で使っている薬は、すべてこのプロセスを経て世に出ています。
でも、この治験、実は大きな課題があります。
- 通院が負担になる(特に高齢者や地方の方)
- 遠方での治験には参加しにくい
- 忙しくて通えない人も多い
こうした課題に対して、「来院しなくても治験に参加できる方法」が模索されてきました。そこで登場したのが DCT(Decentralized Clinical Trial:分散型臨床試験) です。
なぜ今DCTなのか?背景には“ドラッグラグ”と国の動き
日本では、「海外で使える薬が日本ではなかなか承認されない」という“ドラッグラグ”が長年問題になっています。これは、日本の治験参加率が低く、国際共同治験に乗り遅れていることも一因です。
そこで政府も動きました。内閣官房主導の「創薬力強化会議」では、DCT推進が明記され、製薬企業にも変化が起き始めています。
DCTってどんなことができるの?
具体的にDCTでは、以下のようなことが可能になります。
- eConsent:来院せずオンラインで同意取得(私はこの仕組みにとても興味があります)
- オンライン診療:医師と画面越しに診察
- 訪問看護:看護師が自宅に来て処置を行う
- 治験薬の自宅配送
- ウェアラブルデバイス:日常生活データをリアルタイムで取得

これらを組み合わせることで、「患者さんが無理せずに、生活に合わせて治験に参加できる」ようになります。
実際にあった事例:訪問看護を活用したDCT
たとえば、訪問看護師が自宅で採血などを行い、必要に応じて検査機関への対応も担う事例があります。患者さんからは、
「通院の負担が減って助かった」
「時間が有効に使えた」
「看護師さんとの関わりが安心につながった」
といった前向きな声が多く聞かれました。
私も実際のプロジェクトで訪問看護やeConsentの導入を支援してきましたが、**“患者さんの表情が柔らかくなる瞬間”**に立ち会うたび、「DCTをやってよかった」と実感します。
「でも本当に必要?」という声に答える
もちろん、「来院した方が安心では?」という声もあります。医師や看護師側でも「目の前で診たい」という思いは自然なものです。
ただ、DCTは“全部オンラインで完結させよう”というものではありません。**来院とデジタルをうまく組み合わせる「ハイブリッド型」**が主流です。医療者にとっても患者さんにとっても、無理のない形で参加できるようにするのがDCTの目的です。
私が思うDCTの本質
DCTは、ただの技術導入ではありません。
それは、
- 患者さんの生活に寄り添い
- 治験参加のハードルを下げ
- より多くの人が“未来の薬”づくりに関われるようにする仕組み
だと、私は考えています。
これからの治験・医療は、より“患者中心”であるべきです。そのためにも、まずは**DCTを「知ること」**が第一歩。
最後に:このブログを学びの場に
私はこのブログを通じて、自分自身も知識を整理・蓄積していきたいと考えています。
治験や薬剤のこと、医療のこと、もっと気軽に、もっと身近に。
もし一人でも、「へぇ、治験ってそんな世界だったんだ」と思っていただけたら、嬉しいです。
次回は、「治験ってそもそも何?」というところから丁寧にお話していきたいと思います。